080514 | 鰹節の削り場

080514

 Ⅲ

 教えてもらったはいいが、特に欲情もしないのでそのまま左肘を立ててけだるい表情で夕方のニュースを流し見ていると、ポンポンという高いヘルツの音とともに速報の文字が画面上側に点滅する。その5秒後に本文が流れ「#$%&(どこかの国と書いてあったのだが特に真剣に見ていなかったので忘れてしまった)が日本に向けて核弾頭ミサイルを発射した」などと、あわやニュース中にも映画の宣伝を執り行っていたのにうんざりし、仕方なくアダルトチャンネルに変えたはいいが相変わらずアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンと同じSEばかり流れる。興奮を通り越して面白さが滲み出て、試しに音量を54まで上げてみるとおそらく本当にアンアンしていたのだと思われる両隣からドンッと大きな音を確認したので、武士のお情けで音量を下げてやった。すると先ほどまでの単調な作業音が静まりかえる。どうやら場面が変わったらしく安っぽいシンセとドラムを組み合わせた変なBGMが流れ始めた。また茶番劇かとうんざりしていると、栗と栗鼠ちゃんの奥で三十路を過ぎたばかりかと思われる若々しさと艶かしさの間の微妙なアンバランスの大人の声が振動となり、その振動をコマ送りし、ゆっくり、ゆっくり、部屋全体に広がっていき、最終的に僕のうずまき管にまでその振動を伝えさせた。