080725 | 鰹節の削り場

080725



 フロントではチェックインがどうだの、下半身が丸出しだの、警察を呼べだのうるさかったが、非常階段を三段抜かしで跳ね上がれば、着いてきたきた熟女の都。オアシス熟女。子供を孕み、少々弛み掛かり妊娠線が浮き出ても尚も女を感じさせ、さらでもむちむちとしてはち切れんばかりの肉質を視覚から受けるあの太もも……。恐らく声からして安産型であろう。顔?正直なところどうでもいい。顔なんてしょせんはパーツの組み合わせでできた所為だ。整えば整うほど気持ちが悪いというのは、自分が元来から洋人形が嫌いだったせいもあるだろうか。
 僕はパンパンに張ったテントの基礎をジッパーで開放してやると、そこには赤子の腕はあろうグロテスクな存在が姿を現す。それを有無も言わせず掴めば、彼女の腰の動きに合わせてゆっくりと手を上下に擦る。時に激しく。時にへし折る勢いで。そして僕の心情に合わせて、どうやら街ではパレードを起こしているらしい、虫けらのような住民の声が嫌でも響く。畜生糞っ垂れどもめ。小便かけてやろうと油まみれのステンレスの窓枠に手をかけ、精巣から尿道に切り換え、虫けら民衆ども目掛けて熱い熱いお小水をぶちまけてやったぜざまあみろ。するとどっすんどっすんぎゃーおぎゃーおという声とともに、僕の目の前にはかの有名なゴジラが押し寄せていた。くたばる民衆。内臓やら眼球やら脳漿やらを踏まれた勢いでそこらにまき散らす民衆。とち狂い、やっとこさで逃げ押せてきた裸同然の女を数十人という単位で強姦を始める民衆。ゴジラはその間にも手元にあった先端がちょうどバットの持ち部分のように先細りしていたビルディングを鷲掴み、本拠地ニューヨークブロンクスに向かって渾身のフルスイング。民衆、弾け飛ぶ。記者ヘリ、さらば日本と。
 まあいい、そこらへんのことは陸自に任せておこう。最低でも5分はもつだろう。それだけあれば、溜まりに溜まった毒液を吐き出せる。
 そうこうしていると隣から耳をつんざく様な女の金切り声が聞こえてきた。そういえばさっき隣の部屋をちらりと覗けばハンニバル・レクターが、女の皮を剥いでいた気がしないでもない。まあいい、時間はないんだ。後でフロントが気づくだろう。それに外ではドスドスとゴジラが地団駄を踏んでいる。それにつられテレビは上下に揺さぶられ、竿を摩る僕の手も衝撃で勝手に動き始める。おおしゅごい。
 どすんどすんと何が起きたかと思えば、北の国家が開戦を申し立ててきたときたもんだ。上等じゃねえか!男一代、竿仕事が終わればすぐにでも前線に飛んで行ってやる。
ギャーオ
キャーッ
ドガガガ
 轟音が燦々と地震のように蔓延するが、自身の体温は徐々に上昇。やがて射精。
 この日、一発の大きな核の雲が、日本を包み込んだ。