課題図書 ツマンナイ | 鰹節の削り場

課題図書 ツマンナイ

 昔から思っていたことだが、課題図書というやつはどうもつまらない。
 僕は運動が苦手だったのもあってか、小学校ぐらいから文章を読んだり書いたりというのが、比較的苦でなかった。
とは言っても、純文学とか推理小説を入り浸って読むような輩でもなく、誰でも読めそうなファーブル昆虫記や、エライ人伝記シリーズのような、まあ年相応というか、そんなんから始まり。星新一の存在を知ってからますます文章が好きになり、SF御三家を通して今日まで色々と読んできた次第で。自分で言うとアレな気もするけど、まあ好きなわけだ。

 それで学校から読書感想文なんてでると周りの嫌な顔そっちのけで、まあうきうきしてたんですわな。筒井康隆を書こうか、安部公房にしようか、それとも夢野久作なんてどうだろうかとやってたりして、大抵ひとりよがりの文章になって怒られてたんだな。
 ある夏の日に、そろそろどんな本にも慣れてきたろうなと、自由図書の隣にある課題図書とやらに挑戦してみようかなぁなんて思った次第。さっそくその本の紹介文を見てみると、なんだか多忙なライターがやっつけちゃったようなあらすじで、ちょっと嫌な予感がしていた。面白い面白くないにかかわらず、こういったあらすじの段階でこんなんやられるとたまったもんじゃないなあと。
 そいで借りて家に持って帰って最後まで読んだけどまあつまんないのなんので……。そりゃそうだよなあ。あちらさんの独断と偏見によって選ばれた本なんて、同じく独断と偏見で好きなモノしか読まないような小坊主の琴線に触れるわけがないわな。読んでいても「どうだお前の感性にびんびん来るだろ」とか「とても悲しいお話で涙なくてはいられないだろ」みたいな声が自然と聞こえてきて、読み終えた後には課題図書に対する反抗意識しか芽生えなかった気がする。それでこういった点が駄目だとか、あまり感情移入できない等、原稿用紙三枚分ほどで延々と書き連ねて出したら、当時の教師に大目玉を食らった思い出がある。つらいつらい。
 
 だから言いたいことってのは、少年よ、好きな本を読め。
 課題図書は感想文マニアのものだってこと。おわり。